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情報生命物理学研究室
Intelligent Soft Matter Physics and Molecular Computing Group
ーExploring Chemical Artificial Intelligence and Artificial Life-like Systems

生命システムは化学エネルギーで駆動する自律的な分子コンピュータ・分子マシンであると考えられます。当研究室では、生体分子の構造や非平衡な分子反応をプログラムすることで
・分子コンピュータや化学的人工知能
・自律的に動く知的な人工生命システム
を実現する、新しい生物物理学を開拓しています。

Life systems can be described as autonomous molecular computers or machines that use chemical energy. Our group is pioneering a new field of biophysics to realize
・Molecular Computers and Chemical Artificial Intelligence
・Autonomous Intelligent Artificial Life-like Systems
through programming biomolecular structures and non-equilibrium molecular reactions.

情報・生命・物理の融合で知的な物質を扱う新しい科学を開拓

「生物」と「無生物の物質」は、物質でできている点では同じですが、大きな違いがたくさんあります。たとえば、持っている遺伝情報から自己組織的に体を作ったり、周囲の状況に自発的に適応したり、互いに相互作用しながら集団でより高次の機能を創発したりする点などです。これらの機能は、非平衡系で物質・エネルギーを使ったある種の情報処理(計算)であると考えられます。つまり、生物とは、自律的に‘計算’ができる特殊な物質であると言えます。

物質を扱う科学と情報を扱う科学が高度に発展した今、生物のように情報処理ができる知的な物質を取り扱う物理学、情報科学、生命科学などが必要ですが、これらの古典的な学術の分け方だけではアプローチが困難です。そこで、当研究室では、これらの分野を融合し、知的な物質を取り扱える、分野横断的な新しい科学を開拓することを目指し、下記の研究を進めています。

これらの研究を通して、物理や情報の立場から「生命とは何か?」という根源的な問いを解明するとともに、化学エネルギーを情報処理に変換して動き・考える分子集合体の物理科学を創造し、分子コンピュータや分子ロボットなど、新たなサイエンスを開拓します。これらの基礎科学は、医薬・環境・エネルギーなど幅広い分野での課題の解決に役に立つ技術になると考えています。

 

熱力学・物理化学に基づくナノサイズのコンピュータ
「分子コンピュータ」の構築と応用

生命システムは、自由エネルギー最小化の問題(最適化問題)を解いて最安定構造を実現したり、化学エネルギーの出入りのある非平衡状態において自発パターンを形成したりしますが、これらの現象は、ある種の自律的な計算プロセスであるととらえることができます。このテーマでは、生体分子や液体を使ったナノスケールの計算原理である「分子コンピューティング」の研究を進めています。分子コンピュータは、物理・化学の原理に基づき、生命システムを形成する分子を直接操作し、計算することができるため、将来的には医薬・環境分野への応用が期待されています。
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適応・進化する人工細胞の合成生物学

私たち生命システムが非生命の物質からどのようにできているか、どのように知性を発揮しているかを理解することは、生命科学だけでなく物理科学や情報科学においても、未解明の重要な問いとして存在しています。そこで、生物の最小単位である細胞を模倣した人工細胞や環境に適応し進化する人工生命システムの構築を通し、物質としてあり得る生命を探求し本質を抽出する非天然生物物理学(天然にないものの生物物理学)を開拓して、「生命とは何か?」の問いに迫ります。たとえば、DNAや脂質膜を利用して、小胞型の人工細胞やコアセルベート型(液-液相分離型)の人工細胞などを構築しています。さらに、DNAナノテクノロジーマイクロ流体工学を利用して、細胞模倣型の分子ロボットも目指します。
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人工知能やロボットを使った自律的な物質科学・生命科学

生体高分子は配列による情報を持っているため情報技術との融合が容易です。この研究では、人工知能技術を用いた分子実験の自動化のための実験アルゴリズム開発・システム開発の研究も進めています。これらにより、分子コンピュータ・分子ロボットの開発や分子プログラミング手法など物質による知能情報システムの実現を目指します。
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知的なソフトマターの化学と物理学

エネルギー・物質・情報の出入りがある非平衡開放系における、情報を持ったソフトマター自己秩序化現象を探求しています。まさにこれは生命システムを物理学的に捉えた描像と言えます。ここでは、電場・光等による非平衡場のエネルギーや、化学反応による分子の自由エネルギーの変換によって、計算・記憶・自律運動・集団挙動などの動的な現象を示す知的なアクティブマターを実現し、その物理的なメカニズムの解明に関して研究を行っています。また、これを応用したマイクロマシンソフトロボットの構築も行っています。
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東京科学大学 (Institute of Science Tokyo)
 総合研究院 自律システム材料学研究センター (ASMat)
 生命理工学院 生命理工学系 生命理工学コース/人間医療科学技術コース/物質・情報卓越コース
 工学院 システム制御系 システム制御コース

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  • 見学等連絡先:瀧ノ上(takinoue [at] comp.isct.ac.jp)
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    ※修士課程で学内生でも学外生でも、入進学前から東京科学大に申請し、博士課程入学後すぐにスタートできる学内奨学金があります
  • ◯国際経験サポート充実:ASPIREプロジェクトによるUK研究留学(Cambridge, Imperial College London)、国際会議への参加・発表の機会、短期海外留学の機会、学内の国際ハブ組織で研究
  • ◯その他実績:修論→筆頭著者投稿論文多数、院生は学会賞多数受賞、学振DC/PD比率高
  • ◯研究スタイル:自由度高(卒論・修論・博論研究題目
世界を変えたい異端児募集!
  • ◯化学物質で人工知能を作りたい化学者・物理学者
  • ◯生命システムを凌駕するシステムを作りたい生命科学者
  • ◯ウェット実験でナノサイズの新しいコンピュータを作りたい物理学者・情報工学者
  • ◯自然はすなわち計算だと思う情報科学者
  • ◯熱力学・統計力学に基づくナノコンピュータを作りたい物理学者・情報工学者
  • ◯生命システムをコンピュータでシミュレート/デザインしたい情報工学者
  • ◯知能を持った細胞のような柔らかいロボットを作りたい制御工学者
  • ◯生命の神秘の物性を感じたい物理学者
  • ◯DNAの構造は自然の芸術だと思う化学者

研究室の解説記事

日本語解説記事
    • ◯”DNAから人工細胞や分子ロボットをつくる-物質と生命の境界を探求-”, NEXT generation, 東京工業大学 Link (日本語) / “Creating artificial cells and molecular robots using DNA – Exploring the boundary between matter and life”, NEXT generation, Tokyo Tech: Link (English) 
    • ◯”天然にないものの生物物理学”, 「生物物理」誌, 巻頭言 (2020) DOI: 10.2142/biophys.60.263 [The Biophysics of ʻOrganisms Not Existing in Natureʼ (English translation)]
    • ◯”生体内で働く分子ロボットの実現へ:情報媒体としてのDNA分子とDNAコンピューティング”, 情報管理(JST) (2017) DOI: 10.1241/johokanri.60.629
    • ◯”自律性を備えた人工細胞を創出し、生命と物質の境界を探る”, Nature Digest (2012) DOI: 10.1038/ndigest.2012.120226
プレスリリース記事

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瀧ノ上(takinoue [at] comp.isct.ac.jp)